国家試験

関節の機能分類

ROM(関節可動域)評価や訓練を行う上で関節の特徴、運動方向や範囲を理解することは、重要となります。今回は、関節の機能分類として、関節の形、関節軸について解説していきます。

関節とは

関節は、骨と骨の接合部分であり、人間の身体を支え、運動を可能にする重要な構造の一部です。関節は通常、靭帯、滑膜、関節包などの組織で囲まれています。これらの組織は、関節の安定性を向上させます。

単関節と複関節

単関節:2つの骨で構成される関節

    肩甲上腕関節、距骨下関節、股関節、指節間関節など

複関節:3つ以上の骨で構成される関節

    橈骨手根関節、距腿関節、ショパール関節、リスフラン関節など

また、運動軸が1つの関節、2つの関節、多軸の関節があり、それぞれ関節の種類について解説していきます。

1軸性関節

運動軸が1つだけで1つの面だけで運動する関節

蝶番関節:指節間関節(DIP、PIP関節)

らせん関節:距腿関節、腕尺関節 ※蝶番関節にも含まれる。

車軸関節:上下橈尺関節、正中環軸関節

2軸性関節

運動軸が2つある関節

楕円関節:橈骨手根関節、環椎後頭関節

顆状関節:中手指節関節、中足指節関節

鞍関節:胸鎖関節、母指の手根中手関節、踵立方関節

多軸性関節

球関節:肩甲上腕関節、腕橈関節          

臼状関節:股関節

平面関節:肩鎖関節、椎間関節、手根中手関節(橈側)、楔舟関節、仙腸関節

国家試験問題

理学療法士・作業療法士国家試験では、以下の問題が出題されています。

第57回午後51 運動軸が2つの関節はどれか。

1. 環軸関節

2. 距腿関節

3. 肩鎖関節

4. 橈骨手根関節

5. 腕尺関節

解説

1の環軸関節は回旋の車軸関節ですので1軸性関節、2の距腿関節は屈曲・伸展のらせん関節であり、1軸性関節、3の肩鎖関節は平面関節であり、多軸性関節、4の橈骨手根関節は屈曲・伸展と撓屈・尺屈の楕円関節であり、2軸性関節、5の腕尺関節は屈曲・伸展のらせん関節であり、1軸性関節です。そのため、正解は4となります。

第55回午前53 関節と関節構造の組合せで正しいのはどれか。(複数の選択肢を正解とする)

1. 手の MP 関節 ーらせん関節

2. 橈骨手根関節 ー鞍関節

3. 上橈尺関節 ー顆状関節

4. 腕尺関節 ー蝶番関節

5. 肩鎖関節 ー平面関節

解説

1の手のMP関節は屈曲・伸展、内転・外転の顆状関節の2軸性関節、2の橈骨手根関節は屈曲・伸展と撓屈・尺屈の楕円関節であり、2軸性関節、3の上橈尺関節は回内・回外の車軸関節であり、1軸性関節、4の腕尺関節は屈曲・伸展のらせん関節(蝶番関節)であり、1軸性関節、5の肩鎖関節は平面関節であり、多軸性関節です。そのため、正解は4と5となります。

第53回午前52 運動軸が2つの関節はどれか。

1. 手指PIP関節

2. 橈骨手根関節

3. 腕尺関節

4. 上橈尺関節

5. 肩甲上腕関節

解説

1の手指PIP関節は屈曲・伸展の蝶番関節であり、1軸性関節、2の橈骨手根関節は屈曲・伸展と撓屈・尺屈の楕円関節であり、2軸性関節、3の腕尺関節は屈曲・伸展のらせん関節であり、1軸性関節、4の上橈尺関節は回内・回外の車軸関節であり、1軸性関節、5の肩甲上腕関節は球関節であり、多軸性関節です。そのため、正解は2となります。

第50回午前51 関節とその形状の組合せについて正しいのはどれか。

1. 肩関節   鞍関節

2. 肘関節   球関節

3. 上橈尺関節   車軸関節

4. 橈骨手根関節   平面関節

5. 母指 CM 関節   蝶番関節

解説

1の肩関節は球関節であり、多軸性関節、2の肘関節は、腕橈関節、腕尺関節、上橈尺関節からなる。腕橈関節は球関節、腕尺関節はらせん関節、上橈尺関節は車軸関節です。一般に肘関節は腕尺関節(屈曲・伸展)であり、らせん関節、3の上橈尺関節は回内・回外の車軸関節であり、1軸性関節、4の橈骨手根関節は屈曲・伸展と撓屈・尺屈の楕円関節であり、2軸性関節、5の母指のCM関節は鞍関節であり、2軸性関節です。正解は3となりますが、2の肘関節は腕橈関節が含まれており、一概に不正解とはいいにくいですが、3は確実に正解であるため、試験では選択したいです。